物語の一覧へ
スケートボードに乗ったポピーがこぼしたコーヒーを見つめ、眠そうなジョンが布を渡す
やりたいことは、ひとつずつ。

POPPY · 約3分

スケボー、コーヒー、そして宿題

朝の広場で、ポピーはスケートボードを足元に置いた。

ベンチには宿題のノートと、買ったばかりのコーヒー。今日は新しいターンを覚えて、動画も撮って、宿題も終わらせる。頭の中では、全部うまくいく予定だった。

「一本決めたら、一問解く。それで、ひと口飲む。完璧!」 スマホをベンチに立てかけ、ポピーは地面を蹴った。憧れのスケート選手みたいに、軽く、かっこよく。

ところが、勢いよく戻ってきたボードがベンチの脚にこつんと当たった。カップが傾き、ポピーが手を伸ばすより先に、コーヒーが地面に小さな水たまりを作った。ノートの端にも、丸い茶色の跡がひとつ。

「ああ……コーヒーまでターンしちゃった」 通りかかったジョンは、眠そうに目を細めた。「技は見てないけど、今の言い訳は上手だった」

ポピーは笑いながらも、しょんぼりした。三つ同時なら、三倍楽しいはずだったのに。ジョンはベンチに腰を下ろし、ハンカチを渡した。「まず片づけよう。次の技は、逃げないから」

地面とノートを拭き終えると、ポピーはカップを広場から離れたテーブルに移した。スマホもいったんしまう。ボードを置き、宿題を一問だけ解いてみる。さっきは全然わからなかった問題が、今は少し簡単に見えた。

「次は、スケボーだけ」 広場に戻ったポピーは、さっきより小さく地面を蹴った。ひとつの動きに集中すると、ボードは素直に曲がった。派手な技ではないけれど、今日初めて、思った場所でぴたりと止まれた。

ジョンがゆっくり手をたたいた。「今のは、見てたよ」。ポピーはぱっと笑い、ノートに『ターン、成功』と書き足した。コーヒーの跡は消えなかったので、その周りに花びらを描いた。全部いっぺんにはできなかったけれど、今日のページは、なんだか好きだった。