
SAM · 約2分
サムのゆるっと朝活
グリーンヒルに朝の光が差した。
アラームが鳴ると、サムは布団の中で小さくつぶやいた。「あと5分だけ」。次に目を開けた時には、その5分が、いつの間にか30分になっていた。
今日は庭の手入れをする約束がある。急がなくちゃ、と思いながら、サムはキッチンへ向かった。けれど豆の袋を開けると、いつもの香りが広がった。ここだけは、急いで通り過ぎたくない。
豆を挽き、湯を注ぐ。粉がふわりと膨らむのを見ているうちに、サムの肩がゆっくり下がった。「もう少しだけ待とう」。寝坊した朝なのに、コーヒーを待つ時間は、いつもと同じだった。
ようやく淹れ終えて振り返った時、肘がカップに触れた。少しだけ、床にこぼれる。サムはしばらくその跡を見て、それから布巾を取りに行った。「急いでるのに、急ぐと仕事が増えるんだよね」
床を拭いて、残ったコーヒーをひと口。まだ温かい。窓の外では、庭の葉っぱが風に揺れていた。サムは友達に『少し遅れます』と連絡し、今度は落ち着いて支度をした。
鏡を見ると、寝癖が見事にはねていた。直しても、同じところだけ戻ってしまう。「今日は、風とおそろいでいいか」。サムは帽子を手に取り、庭へ向かった。
待っていた友達に謝ると、「コーヒー、ちゃんと飲めた?」と聞かれた。サムは少し照れてうなずいた。土に手を伸ばすと、朝の匂いがした。出発は遅くなったけれど、ここからは、ひとつずつ丁寧にやろう。明日のアラームだけは、少し早めにしておこうと思った。